ランス・ヘンリクセン。
この名前を聞いてピンと来なくても、『エイリアン2』のビショップ、あるいはドラマ『ミレニアム』のフランク・ブラックと言えば、「ああ、あの鋭い目をした人!」と多くの映画ファンがうなずくはず。
ただ、この人の人生、出演作以上に“映画みたい”なんです。
というか、むしろ彼が演じてきた荒んだキャラクターたちが霞むほどの、ハードボイルドな現実を生き抜いてきた俳優なんですよね。

今回は、ハリウッドの中心からは程遠いところから這い上がったたたき上げ俳優ランス・ヘンリクセンの魅力と、その唯一無二の半生を振り返っていきます!
幼少期から過酷すぎる—「文字を持たぬアウトサイダー」の始まり
貧困と家庭崩壊の中で育つ
1940年、ニューヨーク市に生まれたランス。
幼少期は、映画的かつ悲惨なほどの貧困で彩られていました。
ノルウェー系の船乗りだった父親は早々に蒸発。
母親は清掃婦として働き、家族を支えますが、まともな教育を受ける環境には程遠い毎日。
12歳で家出し、“路上で学んだ少年”へ
12歳で家を飛び出し、その後はストリートで生きる術を覚えていきます。
彼にとっての学校は路地裏。
教科書の代わりに、出会った人々の生き様や理不尽さ、そして自らの痛い経験から学ぶ毎日。
「読み書きができない」という現実は、後に海軍に入隊してからも重くのしかかり続けました。
ただ、この孤独な生き延び方が、のちに彼が演じるダークで複雑なキャラクターたちの深みに直結していくのです。
そう思うと、彼の人生そのものが、すでに一本のハードボイルド映画みたいじゃありません?

いやもう、人生の序盤がサバイバル過ぎて…そりゃ「アウトサイダー役」がハマるわけだよね。
30歳を過ぎてからの挑戦—「知の戦場」に立つ覚悟
俳優を志すも「読めない」という壁
手先の器用さを活かして舞台美術の仕事をしていたランスは、ある舞台への出演がきっかけで俳優を志します。
しかし、オーディション用の脚本が読めない。これは致命的。
彼は他人に脚本を読んでもらい、録音して何度も聴き、丸暗記するという方法で役作りをしていたそうです。
気が遠くなる努力・・・。
「文字を知らない自分」の限界に抗って
ついに彼は「読み書きを学ぶ」という人生の大勝負に出ます。
友人の助けを借りて猛勉強し、まるで戦地に赴くような気迫で文字を習得。
この経験が、どんな難解な台本にも怯まず向き合える、ランス独自の強靭なメンタリティを生みました。
・・・いやもう、この時点で普通の新人俳優の苦労レベルを軽く置き去りにしてますよね。

「30歳で読み書きをゼロから」って、努力のスケールが別次元。そりゃ役に厚み出るわ…!
ジェームズ・キャメロンとの出会い—「B級現場」から始まった友情
低予算ホラーでのまさかのDIY精神
キャメロンとの出会いは、超低予算ホラー『殺人魚フライングキラー』(1981)。
予算なさ過ぎて、なんと警官役だったのに衣装がない!
仕方なく、レストランのウェイターから制服を買い取り、銃は木を削って黒く塗りホルスターにぶっ刺すという、潔すぎるDIY対応。
信じられない現場ですよね(笑)。
もうこの時点で「キャメロン組=なんでも自作」の伝説、始まってます。

ていうか、この2人・・・「友情」というより「サバイバル信頼関係」の始まりじゃない?
キャメロンとの絆が生まれた瞬間
現場でキャメロンが撮影用の殺人魚を手作りしているのを見て、ランスが手伝ったことをきっかけに友情が芽生えます。
キャメロンはランスの人柄と演技に惚れ込み、
「次は彼を主役に」
と心に決めたと言われています。
『ターミネーター』伝説—「銀紙の歯」プレゼン事件
キャメロンが最初に想定していたターミネーターは・・・ランス!
『ターミネーター』(1984)制作前、企画を売り込みたいキャメロンは、ランスにとんでもないお願いをします。
「プレゼンにターミネーターとして乱入してくれ」
ランスは了承。
ドアを蹴破り、銀紙の歯で幹部に迫る
革ジャンにブーツ、傷メイクを施し、タバコの銀紙を歯に巻き、幹部のオフィスへ乱入。
ドアを蹴り開け、ナイフをデスクに突き立て、震え上がる幹部。
これ、ガチで伝説の逸話です(笑)。
最終的にターミネーター役はシュワルツェネッガーに変更されましたが、ランスは端役で出演し、キャメロンとの信頼はさらに深まります。
主役じゃなくても腐らないあたり、ランスの懐のデカさがもう規格外。

てか「銀紙の歯プレゼン」までやって、この謙虚さって。。。普通なら一生ネタにして怒ってるよね?
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『エイリアン2』ビショップ—「完璧なアンドロイド」の誕生
人間的なのにどこか不気味—絶妙なバランス感
『ターミネーター』後も二人の交友は続き、キャメロンはランスに『エイリアン2』のビショップ役を託します。
前作のアッシュとは真逆の「信頼できるアンドロイド」ですが、どこかに漂う不安な気配。
その「人間と無機質の境界線」の演技が、ビショップの魅力を最大化。

キャメロンは、物語の緊張感を高める重要な役どころを任せるのはランスに!としか頭になかったのかも。
あの「ナイフ芸」は本人提案&本人実演
有名な指の間を高速で突くナイフ芸。
あれ、ランスの提案で、練習用ナイフを自費で大量購入して猛特訓した結果だそうです。
ロンドンの空港に大量の軍用ナイフを持ち込んで税関で止められたというオマケ付き。

役作りに命かけすぎ😅
でもその狂気が名シーンを生むんだから、映画ってやっぱり面白い。
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ホラー&SF界の「顔」へ—孤独を背負った役の達人
『ニア・ダーク』の吸血鬼リーダー、
『パンプキンヘッド』の復讐に魂を売った男…
アウトサイダー役を演じさせたら、ランスの右に出る者なし。
人生経験そのものが、彼のキャラクターに凄まじい深みをもたらしているのが分かります。
転機となったドラマ『ミレニアム』—孤独な捜査官フランク・ブラック
クリス・カーター(『X-ファイル』)が手がけた『ミレニアム』でランスは主役に抜擢。
「殺人犯の心が見えてしまう男」という、肉体的にも精神的にも重たい役ですが、彼は見事に体現。
ゴールデングローブ賞に3度ノミネートされ、評価を確固たるものにしました。
俳優だけじゃない—陶芸家・彫刻家としての「もう一つの顔」
忙しい俳優業の傍ら、ランスは陶芸家・彫刻家でもあります。
その作品はどれも歪で強く、どこか哀しみが宿るような造形。
読み書きができず俳優の道も閉ざされかけた時期、
粘土を捏ねることが彼の心を救ったセラピーでもあったそうです。

派手さはなくても、人生をつなぎとめる静かな才能。ランスって、そういう深みのある人なんだよね。
歳を重ねても現役——ハリウッドの荒野を歩き続ける男
70代、80代になっても立ち止まらない。
映画、ドラマ、ゲーム……ジャンルの垣根すら飛び越えて出演し続けるランス・ヘンリクセンは、まるで「燃料切れを知らない魂」みたいな男です。
幼い頃の極貧、家族との断絶、文字すら読めず未来が霧のようにかすんでいた時代——彼はそこから、痛みも孤独も引きずったまま、それでも前へ進むことだけを選び続けました。
ハリウッドに辿り着いた後も、彼は決して派手に騒がない。
スキャンダルで注目を集めることもせず、ただ静かに自分の仕事と芸術、そして愛する家族に向き合い続けてきた人。
その背中はいつだって控えめなのに、役に向き合う姿勢だけは揺るぎなく、ずっとまっすぐ。
だからこそ、彼が演じるキャラクターには、作られた「演技」では届かない人生の傷と希望が滲んでいる。
——あの重みは、長い旅路を歩き抜いてきた者だけが持つ、静かな迫力なんですよね。

長い人生を背負って立つ俳優って、台詞よりまなざしのほうが語るんだよね。
おわりに:真のアウトサイダーは、静かに燃える
ランス・ヘンリクセンは、きっとこれからもハリウッドのど真ん中に立つことはないでしょう。
でも——だからこそ、彼は「真のアウトサイダー」であり続けられた人です。
派手さじゃなく、生き様そのものに宿る静かな強さ。
誰にも似ていない異端の魅力。
そして、一度スクリーンで出会ったら心に深く刺さり、何年経ってもふと名前を思い出してしまうような忘れられなさ。
ランスの存在は、映画の片隅でじっと燃え続ける、小さくても確かな炎みたいなもの。
これからも多くの映画ファンの胸の中で、静かに、でも力強く光り続けていくはずです。

スクリーンの片隅だっていい。そこを”伝説の場所”に変えられる俳優なんて、そう何人もいない。