
「親父のホラ話、止まらんのよ」――って愚痴ってた息子が、最後は号泣。
これ、ただのファンタジーじゃありませんでした。
この映画の父親、ぶっちゃけ“盛りすぎ”です。
巨人とは旅するし、未来が見える魔女にも会うし、プロポーズするためにサーカスで3年働きますからね。
なんのRPG?
でも、それを「嘘つき親父」と笑い飛ばしていた息子が、父の“語りの裏側”にある真実を知ったとき――
観てるこっちが泣く羽目になります。
ティム・バートンがまさかの感動路線で攻めてきた、これは“奇想天外な家族愛”の物語。
はい、笑ってるうちに泣きます。そういうやつです。
「ビッグ・フィッシュ」は、こんな映画。
🎬ざっくり作品情報
- 原題:Big Fish
- 公開年:2003年(日本公開は2004年)
- ジャンル:ファンタジー/ヒューマンドラマ/家族愛
- 上映時間:125分
- 製作国:アメリカ
- レーティング:PG-12
“ファンタジー”という看板を掲げつつ、蓋を開けてみれば中身はゴリゴリの家族ドラマ。
ティム・バートン節全開のビジュアルと、“泣ける物語”が高次元で融合した、異色の感動作です。

カラフルなウソの中に、地味でリアルな“愛”が潜んでいる。観るたびに泣き、また観たくなる映画。
🎥スタッフ紹介
- 監督:ティム・バートン
ファンタジー界の魔術師ことバートン監督。実はこの作品、自身の亡き父との思い出を投影した、かなりパーソナルな一本。あの“毒気たっぷりなティム・バートン”が、本気で泣かせにきた作品です。 - 脚本:ジョン・オーガスト
原作小説『ビッグ・フィッシュ ―父と息子のものがたり―』(ダニエル・ウォレス著)を脚色。荒唐無稽なエピソードを、絶妙なバランスで“泣ける話”に昇華させた職人技が光ります。 - 音楽:ダニー・エルフマン
ティム・バートン作品の常連。今回はいつもの“怪しげワールド”を封印し、しっとりと心に沁みる旋律で涙腺を攻めてきます。サントラだけで泣ける。
👨👩👦キャスト紹介(主要キャラだけで泣ける)
- エドワード・ブルーム(老年期)|アルバート・フィニー
おしゃべり好きな“伝説の語り部”。誇張と妄想まみれの話を延々語るが、なぜか憎めない。実はこの役、観るたびに味が増します。 - エドワード・ブルーム(若年期)|ユアン・マクレガー
若き日のエドワードを演じるのは、爽やかさMAXのマクレガー。どんな荒唐無稽な話も、彼がやると「…ありえるかも」と思えてしまう説得力がずるい。 - ウィル・ブルーム|ビリー・クラダップ
父のホラ話に辟易してきた現実派の息子。父の“ほんとう”を知ろうと葛藤する姿がとてもリアルで、静かな熱を感じさせます。 - サンドラ(母)|ジェシカ・ラング(老年)/アリソン・ローマン(若年)
父エドワードの愛しの人にして、家庭の重心。見守る強さ、信じる優しさ、そして切なさ。演技が素晴らしいんですこれが…。 - ジェニー/魔女|ヘレナ・ボナム=カーター
一人二役で登場。どこか怪しげで、どこか切ない。彼女が登場するシーン、全部映画の“鍵”になってます。
📽️配信情報
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「泣ける映画」と聞いて、まさかティム・バートン?
……はい、私も最初はそう思いました。
ティム・バートンっていえば、あの“ヘンテコでちょっと病んでる世界観”の人ですよね?
『シザーハンズ』とか『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』とか、クリスマスに観たら心がブルーになるタイプの名作量産機。
そんな彼が、どストレートな“泣ける映画”を撮るなんて、誰が想像したでしょうか。
しかも!
その中身はまさかの“父と息子のすれ違い”という、昭和ドラマ顔負けの家族愛テーマ。
「え?ティム・バートンが“親子の絆”とか語り出すん!?」
「ファンタジーはおまけで、涙が本編やん!?」
と、わりと本気で驚きました。
でも、観終わってひとこと――

ティムよ、お前そんなエモかったんか…。
というわけで今回は、ティム・バートンが全力で泣かせにきた珍しい一本、
『ビッグ・フィッシュ』の魅力を、遠慮なく語らせていただきます。
🎞️ざっくりあらすじ(※ネタバレなし)
この映画の主人公は、息子・ウィル。
そして物語のカギを握るのは、彼の父・エドワード・ブルーム――なんだけど、こいつがもう“話を盛る天才”。
若い頃の自分の話をするたびに、
- 巨人にスカウトされたり
- 魔女に未来を見せられたり
- サーカスで運命の人に出会ったり
- しかもその女性に出会った瞬間「この人と結婚する!」と決め、会うためだけに3年タダ働きしたり…
…って、そんなヤツおるか。
息子ウィルは、そんな“父のホラ話”にずっと付き合わされて育ったせいで、「もううんざり!」状態。
嘘くさい武勇伝ばっかり語る父に対して、「ほんとのことを話してほしい」と距離を取るようになってしまう。
で、物語はというと――
長年疎遠だった父が重い病で倒れ、ウィルが久々に実家へ帰るところから始まるんですね。
でもね、病床の父は相変わらず。
死ぬ間際なのに「若い頃、サーカスのゾウを逃がした話」とか語り出すんですよ。
具合悪くなるからあんまり喋らんでくれ、って話ですよほんと。
しかしウィルは、

「…このまま“よくわからんまま”父を見送っていいのか?」
と思い立ち、父の語ってきた“ホラ話”の真相を、自分の足でたどりはじめる。
するとそこには、まさかの“真実”と、“父の想い”があって――。
…っていう、笑ってるうちにグサッと刺さって泣かされる系のやつです、これ。
📙ホラ話に込められた、“愛”と“誇り”
さて、ここでひとつ、問いを投げかけます。
この映画は、そこに真正面からぶつかってきます。
エドワードの語る人生は、まあ……嘘まみれ。
いや、本人は「話を面白くしてるだけ」とか言ってますけどね?
でもその“ホラ話”、よーく聞いてると何だか変なんです。
どんなに突拍子もない話にも、なぜか一貫しているテーマがある。
それは「誇り」と「愛」と「人とのつながり」。
- 巨人を町から追い出さず、仲間にする
- 魔女の目を覗き込んで、死に方を知った上で人生を突っ走る
- サーカスで運命の相手を見つけて、あきらめずにアタックし続ける
…なんかもう、全部カッコいいじゃん父ちゃん!ってなるんですよね、最終的に。
ここで気づくんです。

この人は、嘘をついてたんじゃなくて、自分の人生を“物語”として生きてたんだなって。
つまり、
“人からどう記憶されたいか”をちゃんと考えて、それを面白く語ってきた。
その結果、「すごい人生だった」って思わせることに成功してるわけです。
そして皮肉なことに、息子のウィルがその話を信じてなかった間は、父はただの“ウザいオッサン”。
でも、一つひとつを辿ってみたとき、話の中にちゃんと人生のヒントが詰まってることに気づくんですね。
「大きな魚ほど、池のサイズじゃなくて“どんなふうに語られたか”で評価されるんだ」
っていう、本作の象徴的なタイトルの意味も、ここでズドンと刺さってきます。

そしてこの“ホラ話の主人公”をまっすぐに体現したのが、若き日のエドワード=ユアン・マクレガー。
🎭ユアン・マクレガーがいたから、この物語は“まぶしい”ままでいられた。
まず言わせて。
この映画で若き日のエドワードを演じたユアン・マクレガー、陳腐な言い方ですが最高です!
あの人って、ただイケメンってだけじゃないんですよ。
“この人、きっと本当に優しいんだろうな…”って、演技の奥からにじみ出ちゃってる誠実さがある。
笑顔ひとつで「この人について行ってもいいかも…」と思わせるし、
目の奥に宿る真剣さが、あの“ホラ話”を一瞬で「信じたくなる話」に変えてしまう。
実際この映画で語られるエピソードって、
設定だけ見ると「ウソやん」って言いたくなるような荒唐無稽な話ばかりなんだけど――
ユアンの演技を通すと、

「いや、もしかしたらほんとにこんな人生、生きた人がいるかも…」
って思えてしまうんです。
あのまっすぐで透明感のある眼差しが、ファンタジーにリアルな心を与えてる。
そして、派手すぎず、でも確かな輝きで、物語全体をあたたかく照らしている。
💡ティム・バートンが“ジョニー・デップ”じゃなく、“ユアン・マクレガー”を選んだ理由。
バートン作品といえば、「ジョニー・デップありき」みたいな印象ありますよね。
でも『ビッグ・フィッシュ』は違った。ここがまた面白い。
で、思うんです。
ジョニー・デップって、どこか影があって、クセが強くて、どこか“こじらせた魅力”があるタイプ。
彼がやると、エドワードはもっとダークで気難しいキャラになってたと思うんですよ。
でもこの作品に必要だったのは、
「ただ真っ直ぐに夢を信じ続ける男の“まぶしさ”と“愛おしさ”」
その“純度の高さ”を持っていたのが、ユアンだったんじゃないかって。
バートンはきっと、
「現実とファンタジーの境界をぼかすために、演技そのものが“透明で信じられる人”」をキャスティングしたかったんじゃないか――
そんな気がしてなりません。
👇父の“ほんとう”を知ろうとする息子の物語に弱い方には、こちらもおすすめです。
🧩父と息子は、なぜすれ違うのか。
この映画、ホラ話がどうこうって話より、
実は**「親子のコミュニケーション不全」が一番しんどいとこ**なんです。
特にエドワードとウィルは、典型的な“すれ違い親子”。
- 父:とにかく話を盛る。盛りに盛って、もはや現実味ゼロ。
- 息子:それを真顔でスルー。ていうか、もう限界。
- しかも父、自分が話してることが「息子にとってどんだけストレスか」に無自覚。
ね? こじれる要素、満載です。
でもこれ、映画の中だけじゃなくて、現実の親子にもありがちなやつ。
たとえば…
- 父:黙って背中で語るつもりだった
- 息子:なんでちゃんと話してくれないの!?
- →すれ違う。
- →距離ができる。
- →気まずいまま時が流れる。
…って、これ**“昭和の父あるある”**でしょ?
ウィルはウィルで「ちゃんと向き合ってほしい」って思ってるし、
エドワードはエドワードで「俺のやり方で息子を愛してる」って本気で思ってる。
どっちも悪くない。でも、かみ合わない。

そして一番つらいのは、「言葉にできないくらいの大きな愛情」を抱えてるのに、それが届かないこと。
それを描いたのが、この映画のすごいところなんです。
で、ラスト近くになって、ようやく息子が“父のやり方”に歩み寄ったとき――
言葉で理解するんじゃなくて、物語で、行動で、愛が通じ合う瞬間が訪れます。
それがもうね、胸にくるんです。
しれっと号泣させてくるんですよ、この映画。

理解じゃなく、“赦し”がつなぐ親子の絆。
それってものすごくリアルじゃないですか?
👇「お互いのこと嫌いじゃないけど、わかり合うって難しい…」って思ってる方には、こちらもぜひ。
語り継がれる人生、それが“ビッグ・フィッシュ”
映画のタイトル『ビッグ・フィッシュ』。
最初はただのホラ話に出てくる“でっかい魚”のことかと思いきや――いや、もちろんそれもあるんだけど、実はそれだけじゃないんです。
これは、父・エドワード自身のメタファー。
📌「田舎の小さな池にいるには、あまりに大きすぎた魚」
→ つまり、ちっちゃい世界に収まるような人生は送りたくなかった男の話ってこと。
エドワードは、自分の人生を“語り継がれる物語”にすることに命かけてました。
それって、誰かに大げさに見せたいとか、カッコつけたいとかじゃなくて、
「自分の人生が、誰かの記憶にちゃんと残るようにしたかった」
っていう、めちゃくちゃ真面目で切実な願い。
そしてこの映画がすごいのは――
そんな父の「語られ方」を、最後に息子が引き継ぐところ。
そう、「父の人生」を“ホラ話の続きを語る”ことで継承するんです。
これ、もうダメ。
泣くでしょこんなの。
ズルいでしょ。

誰かに語られる限り、その人は死なない。
それってちょっとファンタジーだけど、すごく現実的な慰めでもあると思うんです。
- 派手じゃなくてもいい
- 特別じゃなくてもいい
- でも、自分の物語を、ちゃんと誰かが覚えていてくれたら
それって、めちゃくちゃ幸せな人生じゃないですか?

…で、最後のあのシーンよ。
ウィルが“あの言葉”を口にする瞬間、
もう、ダム決壊レベルで泣きました。
語るって、こういうことなんだって。
不器用すぎる親子の、最高に優しいエンディングでした。
🎯こんな人に観てほしい!
- 「親のこと、ちゃんとわかってるつもり」な人
- 「親の話、マジで毎回同じでうんざり」な人
- でもちょっと…「このまま距離があいたままでいいのかな」って思ってる人
そして、
- 誰かの“すごくなさそうな人生”にも、ちゃんと意味があるんだって信じたい人
- 「語られる人生」に、ちょっと憧れてる人
- ファンタジーで泣かされるなんて、絶対ないでしょって思ってる人(←あなたかも!)
…こういう人にこそ、観てほしい。
これは“奇抜な父の物語”ってだけじゃない。

あなたの中に眠ってる“親へのわだかまり”とか“大切な人の記憶のあり方”に、そっと光を当ててくれる映画です。
しかも、重くない。
笑えるし、カラフルだし、ティム・バートンだし。
なのに、気づいたら静かに泣いてるから、ほんと不意打ちです。
🎬おわりに

ホラ話だと思って聞いてたら、こっちの人生にまで刺さってきましたからねえ。。。
やられた。完全に不意打ち。ティム・バートンってば、どこまで引き出しあるの!
🐟でっかい魚の話で、まさか泣くとは思わなかった。
魔女に未来を見せられ、巨人と旅して、サーカスで恋して――
そんなホラ話だらけの人生のはずなのに、
観終わったあとにグッとくるのは、**たったひとつの“嘘じゃない気持ち”**だったりする。
親子って、ややこしくて、ズレてて、
でも、どうしても切れない存在。

「あなたの人生は、語る価値がある」
って誰かに言ってもらえたら、それだけでもう報われるのかもね。
豪華でも、華やかでもないけれど――
誰かの記憶の中で、でっかく泳いでいける人生って、かっこいいじゃん。
だから私、言わせてもらいます。

“ビッグ・フィッシュ”、でっかい魚じゃなくて、でっかい愛の話でしたわ。
泣きたい夜に、ぜひどうぞ。
💌読んでくれてありがとう!
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