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映画『リバー・ランズ・スルー・イット』感想レビュー|ブラッド・ピットが儚くも美しい、静かな涙の傑作

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風が川面を撫でるように、静かに流れていく――儚さが涙を誘う傑作映画です。

『リバー・ランズ・スルー・イット』。
派手なアクションもなければ、大きな泣きどころもない。
でも観終わったあと、胸の奥がギュッと締め付けられる。

若き日のブラッド・ピットが演じたのは、自由を愛しすぎた弟ポール。
まるで太陽みたいに眩しくて、誰も彼を止められない。
その輝きが強すぎて、だからこそ儚い――。

監督はロバート・レッドフォード。
彼自身もまた若い頃、スクリーンの中で「完璧な美」をまとっていた男。
そんな彼が、かつての自分を重ねるようにこの作品を撮ったと思うと、
映画の中に流れる光や影の意味が、ぐっと深く見えてくる。

自然の美しさと、人の心の弱さ。
兄弟の絆と、届かない愛。
そして――「人生は、美しくも痛い」。
そんな真理を、たった2時間の中に静かに流し込んだのがこの映画です。

映像を、内容を、このブログを書きながら思うだけでもう胸が苦しい。

『リバー・ランズ・スルー・イット』ってどんな映画?

モンタナの雄大な自然を背景に、厳格な牧師の父と、性格の違う二人の兄弟――ノーマンとポールの成長を描いた物語。
原作は、ノーマン・マクリーンの自伝的小説『マクリーンの川』。
それをロバート・レッドフォードが丁寧に映画化したのが、1992年公開の『リバー・ランズ・スルー・イット』です。

この映画をひとことで表すなら、“流れる時間と人生の儚さを描いた叙情詩”

物語の中心にあるのは、フライ・フィッシング――つまり釣り。
このフライ・フィッシングの映像が息を呑むほどの美しさ。
川で糸を投げるたびに、彼らの心もまた、人生という流れの中へ投げ出されていくのです。

兄ノーマン(クレイグ・シェーファー)は真面目で堅実な秀才。
一方、弟ポール(ブラッド・ピット)は陽気で自由奔放。
父の厳しい教えのもとで育ちながら、二人はそれぞれの道を歩んでいきます。
やがて訪れる別れと後悔――そのすべてが、モンタナの清流と共に、静かに、しかし確かに胸に刻まれます。

「人生は川のようなものだ」――そんな言葉がぴったりの映画です。
どんなに穏やかに見えても、川の底には深い流れがある。
愛していても、救えないことがある。
その痛みを、誰もがどこかで知っているから、この映画は30年以上経った今も多くの人の心に流れ続けているのだと思います。

🎬この映画の基本情報

基本情報:映画『リバー・ランズ・スルー・イット』
原題
A River Runs Through It
公開年
1992年
監督
ロバート・レッドフォード
原作
ノーマン・マクリーン(短篇集『マクリーンの川』)
脚本
リチャード・フリーデンバーグ
出演
ブラッド・ピット、クレイグ・シェーファー、トム・スケリット
上映時間
124分
ジャンル
ヒューマンドラマ / 家族 / 青春
アカデミー賞 撮影賞(フィリップ・ルースロ)受賞

💡ワンポイント解説

監督のロバート・レッドフォードは、自身も俳優として活躍してきた中で“語り”と“風景”の力を誰よりも知る人物。
この作品では監督として、映像と静寂を詩のように使いながら「人が人を愛し、理解することの難しさ」を静かに描いています。

🌿あらすじと見どころ

あらすじ(ネタバレなし)

20世紀初頭、モンタナ州ミズーラ。
清らかな川の流れとともに育った二人の兄弟、ノーマンとポール。
厳格な牧師の父のもとで、フライ・フィッシングを通して自然と向き合い、言葉よりも深い絆を育んでいく。

やがて兄ノーマンは大学へ進み、冷静で堅実な道を歩み始める。
一方、弟ポールは自由奔放で、危ういほどに眩しい。
まるで川の流れがそれぞれ別の支流へと分かれていくように、二人の人生も少しずつ異なる方向へ流れ出す。

だが、どれほど離れても、彼らを結ぶものはひとつ。
──父が教えてくれた「川」であり、「釣り」であり、そして「祈り」だった。

ロバート・レッドフォード監督が静謐なタッチで描くこの作品は、
単なる家族ドラマではなく、「生きるとは何か」「愛するとは何か」を問いかける叙情詩。
カメラがとらえるモンタナの自然は、ただひたすらに美しく、悲しみさえも吞み込んでいく。
それは登場人物たちの心の奥に流れる“もうひとつの川”でもある。

見どころ

この映画の核は、**父と息子、そして兄弟のあいだに流れる“理解しきれない愛”**にあります。
牧師の父は息子たちを愛している。だがその愛は厳しさに包まれ、いつも少し距離がある。
兄ノーマンもまた、弟ポールを深く思いながらも、彼を救う術を持たない。

誰もが誰かを愛しているのに、うまく伝えられない。
家族の中で交わされるのは、沈黙とため息、そしてたった一度の微笑み。
──それでも、そのわずかな瞬間に、確かな絆が宿るのです。

釣り糸を投げる静寂の時間に、親子の心が寄り添い、兄弟の想いが交差する。
言葉ではなく、**“手の動き”や“光の揺らぎ”**で愛を語る。
それこそがレッドフォード監督が描きたかった「家族の祈り」。

観終えたあと、静かな余韻の中でふと気づく。
──人は誰かを完全に理解することはできない。
それでも、愛することはできるのだと。

キャストの魅力

🎭沈黙で語る人たち

この映画、セリフよりも“間”が雄弁。
キャスト陣の存在感は派手ではないのに、ひとりひとりがまるでモンタナの川に溶け込むように、静かに心に残っていく。

💠ブラッド・ピット

まずは、若き日のブラッド・ピット
いまやスーパースターの彼だけど、この作品の彼はまだ「世界が知らない輝き」を放っていた頃。

光を受けて金色に透ける髪、流れるようなフライフィッシングのフォーム、そして一瞬の笑顔に滲む孤独
まるで“自由”という名の川に身を委ねているようで、観る者は惹かれずにいられない。

彼の演じるポールは、危うくて、美しくて、そしてどこか痛い。
——ブラッド・ピットが後のキャリアで見せる“哀しみを抱いた男の魅力”の原型が、ここにあります。

💠クレイグ・シェーファー

兄ノーマンを演じたクレイグ・シェーファーは、真面目で不器用な長男そのもの。
静かに弟を見つめる眼差しには、「愛しているのに、届かない」苦しさが滲む。
感情を爆発させることなく抑えた演技で愛を表現する彼の芝居が、この作品の余韻をいっそう深くしているように感じます。

💠トム・スケリット

そして父役のトム・スケリット
厳格な牧師でありながら、息子たちへの愛を不器用にしか伝えられない男。
食卓での沈黙、釣りの場でのわずかな笑み——。
そのすべてが“アメリカの父親像”の象徴に見え、まるでレッドフォード監督自身が父に語りかけているかのようです。

キャスト全員が「語らないことで語る」。
この静けさこそが、この映画の最大の魅力だと思う。
派手な涙も怒鳴り声もないのに、なぜか心の奥で嗚咽がこみ上げてくる——そんな体験を、彼らは淡々と届けてくれる。

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監督ロバート・レッドフォードの世界観 ――「静けさ」で語るアメリカの魂

ロバート・レッドフォードという名前を聞くだけで、
どこか風が吹き抜けるような感覚にならないでしょうか。
彼がカメラの前に立っても、後ろに立っても、
そこにはいつも“自然の中に生きる人間”というテーマが息づいています。

『リバー・ランズ・スルー・イット』は、そんなレッドフォードの美学の集大成と言える作品です。
彼が監督として描いたのは、派手なアメリカではなく、静かに生きる人たちの心の流れ
風景の美しさと人の心を“同じリズム”で撮るという、まるで詩のような映像世界を作り上げているのです。

🌈レッドフォードという男の“静かな反逆”

俳優としての彼は多くの人に知られています。
『明日に向かって撃て!』『スティング』『華麗なるギャツビー』――
彼の代表作はどれもハリウッドの黄金期を代表する作品です。

けれど、彼が監督として見せる姿は少し違う。
それはまるで声を荒げない反逆者

アメリカ映画が銃声とスピードであふれていた時代、
レッドフォードは“沈黙”と“時間”で勝負したのです。

「もっと静かに、もっと丁寧に、生きるということを見つめ直そう」と。
まるで彼自身が自然と人間の関係を問いかけているように。

📙『リバー・ランズ・スルー・イット』に流れる彼の哲学

この映画は、レッドフォード自身の人生観をそのまま投影したと言っていい作品でしょう。
彼が暮らしたユタ州と同じようなモンタナの雄大な自然、
家族との距離感、言葉にできない愛情、そして時の流れ。

「人は理解できないものを、ただ愛するしかない」――
物語の中で描かれる父と息子、兄と弟の関係は、まさにレッドフォードが信じている“愛の形”。
悲しみの底に差す一筋の光――それが彼の描く救いのかたち。
彼はこの映画で、人間の痛みを自然の美しさで包み込むことに成功したのです。

🎙️そして、監督ロバート・レッドフォードという“語り手”

この作品では、物語の語り手もレッドフォード自身が務めています。
彼の穏やかで温かいナレーションが、
まるで川のせせらぎのように、静かに心に流れ込んでくる。
彼の声は決して感情を押しつけない。
それでも、聴いていると胸の奥にじんわりと熱が灯ってくるのです。

——この映画を観終えたあと、
レッドフォードの声がまだ耳の奥に残っているのは
“彼が語り手である以前に、人生の観察者だから”だと思う。

ロバート・レッドフォードって、ただのハンサムじゃないのよ。
目立たない美しさを撮らせたら、この人の右に出る者はいない。
彼の“静けさ”は、もはやジャンル。

リンダが選ぶ名シーン3選

美しさは残酷なほど悲しみをまとい、胸が張り裂けんばかりの心の叫びはあれど声を出すことができない。
そんな体験をしてしまうほど切なさが襲ってくるような名シーンを厳選しました。

① 川のほとりで、父が釣り糸を教えるシーン

まだ幼い兄弟が、父にフライ・フィッシングを教わる場面。
朝の光が水面に反射し、糸が空を舞う。
父は静かに語る。「釣りはリズムだ。言葉よりも、神に近いものだ。」

この瞬間、釣りは“技術”ではなく“祈り”に変わる。
やがて成長していく二人の人生に、何度もこの記憶がよみがえるのだ。
レッドフォード監督はここで、父の愛を説教ではなく美しいリズムの映像で描き切っている。
──これこそが「教え」と「愛」が重なり合う原点。

② 大人になった兄弟が、再び川で釣りをするシーン

大学を出て地元に戻ったノーマンと、危うくも自由なポール。
二人が無言で竿を振るう姿は、まるで言葉を超えた会話のよう。

兄の目には、弟の背中がひどくまぶしく映る。
水面に跳ねる魚、差し込む光、そして風。
そのすべてが“失われゆく時間”を映している。

観る者は気づかぬうちに、**「この時間が永遠に続いてほしい」**と願ってしまう。
──だが、川は止まらない。人生もまた、同じように流れていく。

③ ラスト、ノーマンが独り川に立つシーン

年月が過ぎ、父も弟もこの世を去ったあと。
老いたノーマンはひとり、同じ川に立っている。
手には釣り竿、頭上には静かな空。

語られるのは、彼の心の奥に今も流れ続ける祈りの言葉。

“I am haunted by waters.”
――私は、いまもあの水に取り憑かれている。

このラストラインに、レッドフォード監督の“人生観”がすべて凝縮されている。
愛する者たちはもういない。けれど、その記憶は川とともに永遠に流れ続ける。

観終えたあと、静寂の中に深い余韻が残る。
それは悲しみではなく、**「生きることの赦し」**に近い。
人はみな、何かを失いながらも、その流れの中で生かされている──。

映画に流れる「静かな哀しみ」と「祈り」

『リバー・ランズ・スルー・イット』の感動は、叫びや劇的なクライマックスから生まれるものではなく、むしろこの映画が仕掛けるのは「間」と「反復」です。
繰り返される川の流れ、何度も投げられる釣り糸、同じ場所で交わされるわずかな視線──そのリフレインが、観る者の内部に微かな亀裂を入れていく。亀裂から染み出すのが、静かな哀しみであり、祈りなんです。

川=時間のメタファー

映画が繰り返し映すのは、水面の光、流れに揺れる草、糸が水を切る瞬間。
川は単なるロケーションではなく、時間そのものであり、また記憶そのものでもあります。
川は止まらず、同じ場所に二度と完全には戻れない。その当たり前の事実が、この物語の悲しみを日常へと落とし込む。
人は誰も、その流れを逆行できない。だからこそ釣り糸を投げるという行為は、俗に言う娯楽を超えて「祈り」に近づく。
糸を投げるたびに、登場人物たちは失われたものや救えなかった人たちへ手を合わせているように見えるのです。

祈りとしてのフライ・フィッシング

映画の中で釣りは技術ではなく作法であり、習慣であり、祈り。父が息子に釣りを教えるその所作は、祈祷に似ています。
静かに繰り返される所作によって、世代は繋がり、価値観は受け継がれる。しかし同時にその繋がりは完全ではない。
愛は伝わるが、人は変えられるものではない──その矛盾が観る者の胸をぐわんと掴んできます。

沈黙の重みと演技の“余白”

本作の俳優たちは、言葉よりも「あくびひとつ」「眉の動き」「糸を巻き上げる指先」で演じています。
救いようのない哀しみが宿るのは、その抑制された演技の中。
言葉で説明されない分だけ、観客自身の経験や記憶がその余白を埋めていくよう。
だからこの映画は観る人ごとに違った痛みを呼び起こす──それがこの作品の普遍性となっています。

光と影の詩学

カメラが収める光は、しばしば救済の予感を帯びます。
川面に差す一筋の光、夕暮れのシルエット、朝もやに溶ける木々の輪郭。レッドフォード監督は風景と人間を同じ調子で演出し、光が人物の内面を語るように組み立てました。
美しい映像が哀しみを飾るのではなく、むしろ哀しみを受け止める器として機能しています。

喪失を抱える成熟の物語

この映画で描かれるのは“事件後の感情”ではありません。喪失は突然やってきますが、映画は喪失に直面したあとの長い時間を見つめています。
生き残った者の中に残る「取り返せなかったものへの静かな後悔」。
それでも日常は流れ、釣りは続けられる。祈りはかき消されることなく、しかし形を変えて、次の世代へと受け渡されていくかのように。

音のない祈り、音楽の役割

台詞の少なさを補うのは音の選び方。
音楽は決して感情を説明せず、むしろ沈黙と音楽のバランスが、祈りのような余韻を生み出します。
静寂の中で小さく鳴る旋律、川のせせらぎ、風の音——これらが我々の胸をそっと押し開く。
映画は声高に説教を垂れず、音と光で観る者の心を導いていきます。

祈りの形はさまざま──赦しと受容

最後に印象的なのは、この映画が提示する“救済”のあり方。
救済は派手な奇跡を起こすわけでもなく、赦しもまた大声で示されるものではなく、日々の所作の中で少しずつ育つ。
ノーマンの心に残るのは、怒りの爆発ではなく、耐える愛と静かな受容。
その受容の瞬間が、観る者の胸に小さな灯をともすのです。

結び:静けさの中で出会う普遍

『リバー・ランズ・スルー・イット』の何が人を惹きつけるのでしょうか。
迫力を感じるほどの自然の映像美だけで人を惹きつけるのではなく、その美しさを通じて、我々に「どう生きるか」「どう愛するか」を問い続けるからこそ、何度でも波のように心に戻ってくるのです。
静かな哀しみを抱えたまま祈るような物語を受け取りたい人にとって、この映画はいつでも開かれた書物のように、そっと頁をめくらせてくれます。

大声で泣く映画が好きな人には地味かもしれない。
けど、この静かな祈りの音を聞いたら、逆に心がざわついて眠れなくなるはずよ。

若きブラッド・ピットの美しさは、神話を超える。

―『リバー・ランズ・スルー・イット』が映し出した“永遠の青年”

ブラッド・ピットほど、「美しさ」と「儚さ」を同時に体現した俳優がいたでしょうか。
『リバー・ランズ・スルー・イット』で彼が演じるポールは、まるで陽の光をそのまま人間にしたような存在。
まぶしくて、触れたら壊れてしまいそうで、誰よりも自由。
この映画のブラッド・ピットは単純に“若くてかっこいい”という一過性の存在ではないということを世に知らしめるように、「若さそのものの痛み」を演じています。

ロバート・レッドフォードの“分身”としてのブラピ

監督のロバート・レッドフォードは、かつて『明日に向かって撃て!』や『スティング』で、世界中の女性を虜にした“黄金の男”でした。
その彼が監督として自分の後継者に指名したように、若きブラッド・ピットをこの映画に配したのは偶然ではないでしょう。
金髪に陽光を浴びた横顔、笑ったときの皺、孤独を抱えながらも人を惹きつけるカリスマ性。
ブラッド・ピットのポールは、まるで若き日のレッドフォードの幻影がスクリーン上に蘇ったよう。

しかもレッドフォードは、ブラピに「演じさせる」というより、“ただ存在させた”
カメラは彼のセリフよりも、その沈黙、その背中、その視線を見つめ続ける。
ポールが釣り糸を投げるたびに、観客は言葉にならない「青春の終わり」を感じ取る。
彼は語らないからこそ、映画の中で最も多くを語っているのです。

“破滅の匂い”を纏った美しさ

ポールという人物は、まさに「輝きと影の同居」を体現する人物として描かれています。
無邪気な笑顔の奥にある刹那的な危うさ。
酒、賭け事、無鉄砲な行動――どれも自由の象徴でありながら、破滅の予兆も匂わせます。
しかしそれを演じるブラッド・ピットは、悲劇的でも惨めでもない。
彼は**「破滅していく姿すら、美しい」**という、人間の矛盾を体現している。

この映画を観た誰もが感じるでしょう。「ああ、彼はもうこの世界には長くいられない」と。
でも同時に思う。「こんなふうに生きられたら、どんなに美しいだろう」と。
ポールの生き様は、青春の象徴であり、永遠の“赦されない自由”のメタファーでもあります。

“俳優ブラッド・ピット”の出発点として

『リバー・ランズ・スルー・イット』は、ブラッド・ピットが“スター”ではなく“俳優”として認められた最初の作品です。
彼の魅力は、ルックスだけでは終わらない。むしろここでは、内に潜む寂しさと繊細さがスクリーンを支配しています。
後年、『セブン』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『アド・アストラ』などで見せる“孤独な男”の原型は、すでにこの時点で完成していたと言えます。

結び:川の流れのように、彼もまた一瞬を生きた

ブラッド・ピットのポールは、時間の流れの中で永遠に閉じ込められた“青春”の象徴。
彼がスクリーンの中で輝き続けるのは、その美しさが「永遠ではない」と観客が知っているから。
レッドフォードはその一瞬を永遠にする術を知っていた。
だからこの映画は、若き日のブラッド・ピットの“魂の肖像画”でもあるのです。

“美しい人”って、見た目だけのことじゃない。
壊れそうなほどの自由と、誰にも届かない孤独を抱えたまま笑える人のことを言うのよ。
そういう意味で若き日のブラピはもう、芸術。

『リバー・ランズ・スルー・イット』をおすすめしたい人

しんと静かな空気の中に、心の奥をそっと撫でてくるような物語が好きな人にこそ、観てほしい。
『リバー・ランズ・スルー・イット』は派手な展開も、大げさな演出もない。
それでも――いや、だからこそ、観る人の人生に寄り添う映画です。

たとえば、

  • 忙しすぎて自分を見失いそうなとき
  • 家族との距離が、少しだけ遠く感じるとき
  • 誰かを愛することが、ただ苦しいと感じてしまうとき

そんな瞬間にこの映画を観ると、胸の奥に“静かな光”が灯るはず。
流れる川のように、止まらず、それでいて穏やかに生きていくこと。
その尊さを思い出させてくれる――まさに“大人のための青春映画”です。

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🐟『ビッグ・フィッシュ』レビュー

💡観る前に知っておきたいこと

本作は“説明しすぎない映画”です。
ナレーションこそあるものの、描かれない感情、語られない思いが多くあります。
でもそれは、観る人の想像力を信じているから。
つまり、この映画は「観る側の心を試す作品」でもあるんです。

川の流れ、揺れる光、語られぬ沈黙。
そのすべてが“言葉以上の祈り”として画面に宿っている。

「何も起こらない」と感じる人もいるかもしれません。
けれど――静かな映像の中に、人生の痛みも赦しもすべて詰まっている。
そう気づいたとき、この映画の本当の意味があなたの中で“流れ始める”はずです。

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💡リンダのおすすめ視聴スタイル

この映画は、派手な音響よりも“静寂”が語る作品。
夜、部屋の灯りを落として、柔らかい間接照明のもとで観るのがおすすめです。
そしてラストシーンの「川」の音に耳を澄ませてください。――そこに、人生そのものが流れています。

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まとめ|静かな流れの中で、人生が問いかけてくる

『リバー・ランズ・スルー・イット』は、派手な展開も、大きな感情の爆発もない。
けれど、この静けさこそが人生の真実を映している。
愛しているのに、どうにも届かない距離。
わかっているのに、どうにも救えない想い。

川のせせらぎのように淡々と流れていく時間の中で、
私たちは“何を伝え、何を見送るのか”を静かに問いかけられる。

そして、エンディングのモノローグが胸に滲む。

「結局のところ、私たちは愛する人を理解することはできない。
ただ、愛し続けることしかできない。」

この言葉に触れた瞬間、
“生きるとは何か”“愛するとは何か”という問いが、
ふと、自分自身の胸の奥に返ってくる。

もしかしたら、これは「静かすぎて眠くなる映画」って言われるタイプかもしれません。
でもね、川の音を聞きながら人生を見つめ直す時間なんて、今の時代そうそう持てません。
そう思うと、この映画って贅沢な“心の休息”なのよ。

次の映画を観るとき、
少しだけこの作品の“静かな祈り”を思い出してほしい。
それが、リンダからあなたへのラストメッセージです。🌿

🔻人生のページを静かにめくるような物語が好きなら、『フォーエバー・フレンズ』もぜひ。形を変えても続いていく絆の強さに、きっとまた心をつかまれます。🔻

🎙️『フォーエバー・フレンズ』レビュー

涙で心を洗う──リンダの“泣ける映画セレクション”

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